雪の降る寒い日に、こたつに入って熱い甘酒をすする―甘酒というとこんなイメージだろう。甘酒は冬の飲み物、あるいは桃の節句にお雛様に供える子供の飲み物、そんな風に思っている人は多いだろう。ところが意外なことに、甘酒は夏の飲み物なのである。その証拠に、俳句では「甘酒」は夏の季語になっている。テレビの時代劇で、茶店の軒先に甘酒のちょうちんがかかっているのを見ることがあるが、江戸の庶民は暑い夏に甘酒を飲んでいたのである。糖分や水分を摂取できる、夏バテ予防の栄養ドリンクとして飲まれていたのだろう。
こうじ屋の作る甘酒は、酒粕も砂糖も含まない、いたってシンプルな飲み物である。以前、関西出身の方と話をしていて、ノンアルコールの甘酒があるなんて知らなかったといって驚かれたことがある。甘酒も、地方によって作り方はいろいろなのである。
作り方もまたいたって簡単で、米を粥状にしてその中にこうじを加え、60℃で7~8時間保温すれば出来あがる。米は2合か3合、こうじは5合くらいだ。モチ米を使えばより甘いものができる。甘酒作りで注意しなければならないのは品温管理である。甘酒は、こうじに含まれるアミラーゼという糖化酵素によってでんぷんが糖化されて作られるが、この酵素の適温は55~65℃である。これより高くなると酵素は活性を失い、低くなると乳酸菌が増殖して酸っぱくなってしまう。これさえ守れば誰でも簡単に作ることができる。もっと早く作りたいと思ったら、こうじとお湯だけで作ることもできる。こうじに倍の量のお湯を加え60℃に保温しておけば、7時間くらいで甘酒になる。一昔前は米が貴重品だったのでこんな贅沢な作り方はしなかったが、今はこの方法で作る人も多い。
甘酒というと、亡くなった母親のことを想い出す。母親は甘酒が好きで、冬になるとよく甘酒を作って飲んでいた。戦後の食糧難の時代に育ったので、甘酒は唯一の甘い飲み物だったのである。私はというと、子供の頃はあまり飲んだ記憶がない。お菓子やジュースなど、甘い食べ物・飲み物が出回り始めたからである。
こうじ屋の作る甘酒は、酒粕も砂糖も含まない、いたってシンプルな飲み物である。以前、関西出身の方と話をしていて、ノンアルコールの甘酒があるなんて知らなかったといって驚かれたことがある。甘酒も、地方によって作り方はいろいろなのである。
作り方もまたいたって簡単で、米を粥状にしてその中にこうじを加え、60℃で7~8時間保温すれば出来あがる。米は2合か3合、こうじは5合くらいだ。モチ米を使えばより甘いものができる。甘酒作りで注意しなければならないのは品温管理である。甘酒は、こうじに含まれるアミラーゼという糖化酵素によってでんぷんが糖化されて作られるが、この酵素の適温は55~65℃である。これより高くなると酵素は活性を失い、低くなると乳酸菌が増殖して酸っぱくなってしまう。これさえ守れば誰でも簡単に作ることができる。もっと早く作りたいと思ったら、こうじとお湯だけで作ることもできる。こうじに倍の量のお湯を加え60℃に保温しておけば、7時間くらいで甘酒になる。一昔前は米が貴重品だったのでこんな贅沢な作り方はしなかったが、今はこの方法で作る人も多い。
甘酒というと、亡くなった母親のことを想い出す。母親は甘酒が好きで、冬になるとよく甘酒を作って飲んでいた。戦後の食糧難の時代に育ったので、甘酒は唯一の甘い飲み物だったのである。私はというと、子供の頃はあまり飲んだ記憶がない。お菓子やジュースなど、甘い食べ物・飲み物が出回り始めたからである。